この記事では、これからエンジニアを目指している方やエンジニアに興味がある方に向けて、「SES(客先常駐)って実際どうなの?」といった疑問に答えていきます。
「客先常駐」と聞くと良いイメージを持たない人が多いのかもしれませんが、デメリットだけでなくメリットもあります。
実際にSESとして4年間(3社)、客先常駐の働き方をしてきた僕自身の体験も交えて、SESのメリットとデメリットについて解説します。ぜひ今後のキャリアの参考にしてみてください。
▼この記事を書いたひと
SES歴4年で現在はフリーランスをしているヒツジニアです。SES業界の知識を中心に、IT関連の情報を幅広く発信してゆきます。
【前提知識】SESについて
「SES契約」というのは、「System Engineering Service(システムエンジニアリングサービス)」の略です。
簡単にいうと、SE(システムエンジニア)をかかえる会社が、システム開発の現場に、自社SEを送り込み、クライアント企業に常駐して働く契約のことを言います。
この契約では、「作業時間あたり○○円」といったように、SEの能力や工数、時間などによって、対価が決定される点に特徴があります。
詳しくは以下の記事を参考にしてください。
関連記事:SES契約について
SESで働くメリット5つ
SESで働くメリットは以下の5つです。
- 原則、納品義務がない
- 残業時間が少ない
- 様々なプロジェクトを経験できる
- 社外での人脈が広がる
- 大手企業で働ける
それぞれについて詳しく解説します。
①:原則、納品義務がない
SES(準委任契約)は原則として、成果物納品の義務がありません。
求められた業務をきちんと行なっていれば、成果物が完成しなくても、責任は問われないんですね。納品物に不備があった際の修正も必要ないとされています。
そういった理由から、SESは比較的ストレスが少なく、精神をすり減らさずに仕事ができる働き方といえます。
②:残業時間が少ない
SESでは残業が少なくなる傾向があるのもメリットいえます。
理由としては、客先常駐は時間単位の働き方だからです。時間外労働をすると超過料金が発生します。常駐先は費用を節約するため、あまり残業はさせない傾向にあるんですね。
実際に私もSESとして3社経験してきましたが、どの現場でも基本的には定時で帰ることができました。(もちろん残業がある時期もあります)
ただし、残業前提で仕事を進めるといったことはできないので、その点は注意が必要です。
③:様々なプロジェクトを経験できる
様々なプロジェクトを経験できることも、SESで働くことの大きなメリットの1つです。
SES契約では1つのプロジェクトが終われば、次の現場へ移り、新たなプロジェクトに参画することになります。
つまり、SESエンジニアは同じ会社に所属したまま、いろいろな職場を経験できるということです。
1つの現場だけだと、身につけることができるスキルにも限界があります。複数のプロジェクト経験を積むことができるのは貴重な経験になるでしょう。
④:社外での人脈が広がる
常に客先に常駐して作業するSESは社外とのコネクションが広がるというメリットもあります。
多くの現場を経験しているうちに、それなりに横の繋がりが広がる可能性があるのがSESの良いところといえますね。
特に、今後フリーランスとしての独立や起業などを目指している場合は、効率的に人脈をつくるチャンスとなるでしょう。
⑤:大手企業で働ける
SESは様々な企業に常駐し、そのSEとしての技術力を提供することになります。そのため、雇用元企業の繋がりによっては上場企業や知名度の高い企業で働くことも多々あります。
大手企業は職場環境が整っていることも多く、いきいきと働くことができるでしょう。
また、大手企業に正社員として働くことはハードルが高いですが、SESであればそのような企業の大規模なプロジェクトに携われる可能性も高いです。
SESで働くデメリット4つ
SESで働くデメリットは以下の4つです。
- 年収が低くなりやすい
- 配属される現場は運次第
- 自社との関りが希薄になる
- 環境変化によるストレスがある
それぞれについて詳しく解説します。
①:年収が低くなりやすい
IT業界は多重下請け構造という特徴があります。大きなプロジェクトは細分化されて、1次請けから2次請け、3次請けと、次々に下請けに回されていきます。
下請けすぎるSES企業に入社すると報酬は低くなるので、年収が低くなりがちです。
しかし、SESで経験を積んでよりキャリアアップしている人は多くいます。しっかりとスキルを磨いて、給与アップや転職できる力をつけるようにしておきましょう。
②:配属される現場は運次第
SESでは、配属される現場が運で決まるというデメリットもあります。(「案件ガチャ」と呼ばれます)
プロジェクトによっては、客先に一人で行かされる場合もあります。実際私も一人で配属されたことがあるですが、気軽に相談できる人ができず苦労しました…
様々なプロジェクトに携われることはメリットでもあるのですが、炎上しているプロジェクトだったり、環境が良くない現場に当たってしまうデメリットもあることは覚えておきましょう。
③:自社との関りが希薄になる
自社メンバーとの関わりが希薄になるのはデメリットといえるでしょう。
SESはクライアント企業に常駐するため、自社へは特別な用事がない限り出勤することがありません。
困ったときや不安なときに相談する人がいなかったり、気軽に仲間とコミュニケーションを取りにくかったりすることが客先常駐の難点といえます。
④:環境変化によるストレスがある
SESはプロジェクトごとの職場の環境が変わります。
周りの環境や業務の進め方が変わることで、それなりのストレスがかかってしまうことも想像できますので、こちらに関してはデメリットともいえるでしょう。
SESに向いている人の特徴
これまでメリット・デメリットをお伝えしてきましたが、自分がSESに向いているかどうかを把握しておくことは重要です。
SESに向いているのは以下のような人です。
- 様々な環境で働くことが苦にならない人
- 未経験からエンジニアを目指したい人
- 将来フリーランスとして独立したい人
順番に解説します。
様々な環境で働くことが苦にならない人
仕事環境がコロコロ変わると難しいという方には、SESはあまりおすすめできません。逆に、同じ現場でずっと働くのは苦手という方にはおすすめです。
SESは基本的にはプロジェクト単位で作業を行い、プロジェクトが終了したら、その現場での勤務も終了という場合があります。
そうなると、また新しい現場で新たに人間関係を構築するというステップをやり直さなければなりません。
上記のようなことが問題ない方は、SESエンジニアに向いています。
未経験からエンジニアを目指したい人
SESとして働くためにはプログラミングスキルは必須です。ですが、IT業界では慢性的な人材不足ということもあり、エンジニア未経験でも採用するSES企業はあります。
一般的にSES企業は、自社で開発をする会社(自社開発企業)よりも採用基準が甘い傾向にあり入社しやすいです。
学歴不問、未経験者でも正社員採用してくれる会社もあるので、スキル習得を目的に未経験からエンジニアを目指したい人にも向いているといえます。
将来フリーランスとして独立したい人
SESは将来フリーランスを目指すには、ベストな環境です。
なぜなら、SES契約で働いていると、様々なプロジェクトを通してスキル身につけたり、新しい人や企業と出会うチャンスも豊富だからです。
常駐先で発揮したスキルを見込まれて、案件を依頼されるケースもあります。フリーランスは営業力も必要となりますから、SES時代のコネクションは強い武器になるでしょう。
まとめ
最後にこの記事の重要なポイントをおさらいします。
- 原則、納品義務がない
- 残業時間が少ない
- 様々なプロジェクトを経験できる
- 社外での人脈が広がる
- 大手企業で働ける
- 年収が低くなりやすい
- 配属される現場は運次第
- 自社との関りが希薄になる
- 環境変化によるストレスがある
ここまでの内容を元に考察をすると、SES契約に向いている人は、
- 様々な環境で働くことが苦にならない人
- 未経験からエンジニアを目指したい人
- 将来フリーランスとして独立したい人
といった方が該当するかと思われます。
この中でも特に、まだスキルが未熟でこれからスキルを習得していきたいという方には、とても向いていると思います。
スキルが向上すれば将来的には正社員として自社サービスを持っている会社に転職することも可能ですので、SESの会社で働くことをゴールと考えなければ問題ありません。
SESで経験を積んでみたいという人は、自分の価値を高められる優良企業を見つけましょう!